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Column コラム

2026.02.16

【視察報告】株式会社トビムシから学ぶ「地産地製」による地域活性化

新風唐津の松本ますひろです。2月に実施した会派研修から、地方創生×林業を取り組む「株式会社トビムシ」(以下トビムシ)の事業から学んだことを報告していきたいと思います。

日本の過疎地域の多くが中山間地であり、日本の国土の3分の2が森林です。唐津市は、約52%は森林で、平均よりは少ないものの、2分の1が森林を占めています。

林業が衰退した背景には、貿易のグローバル化によって外国産材が安く仕入れられる時代が続いたことが、最大の要因です。また、輸送コストも、伐採直後の木材は水分を多く含み、丸太輸送では運搬重量の多くが水分や空隙となり、林業の収益性を圧迫していました。しかし、途上国の発展&成長と円安が進むなかで、外国産材が割高になってきました。そこで、林業の復興に目を向けた自治体とトビムシとが連携し、全国で、地方創生×林業が展開されています。

トビムシは、「地産地消」ではなく「地産地製」という考え方を提示しています。伐採地の近隣で製材・乾燥・加工まで行うことで、

・輸送効率の改善
・製品付加価値の向上
・地域雇用の創出
・森林整備の促進

を好循環させて実現できているということです。

■ 地域主体を重視した事業運営
トビムシの特徴は、地域で設立する事業会社に対し、同社が少数出資にとどまり、地域の第三セクターが出資をしている点にあります。経営の主導権を地域側に委ねることで、外部企業によるではなく、地域が主体的に経済活動を展開する仕組みを構築しています。この考え方は、地域独自のニーズに合わせて、柔軟に持続可能な地域経営を実現する上で重要な視点であると思います。

■ 全国各地での具体的成果
岡山県西粟倉村では、林業の加工・販売・バイオマス活用を一体化した産業モデルを構築し、原木取扱量の大幅増加を実現しています。また、愛知県岡崎市では公共建築物への地域材活用を推進するため、木材の乾燥・在庫化を支援する基金制度を整備し、地域材利用の拡大に成功しています。

移住促進分野では、里山賃貸住宅を整備し、移住希望者が地域と関係性を構築する期間を設けることで、定住率向上に成果を上げています。さらに島根県海士町では、林業×観光×産業投資を組み合わせた取り組みにより、生産年齢人口の増加と地域所得向上という好循環を生み出しており、大変参考になると思いました。

■ 地方自治体が抱える構造的課題
意見交換では、地方自治体の実務的課題についても言及がありました。
多くの自治体では、下記が大きな課題となっています。

・政策調整の複雑化
・人材不足
・新規事業に取り組む余力不足

また、平成の市町村合併により誕生した広域自治体では、地域ごとの文化や経済圏の違いにより政策実行が難しくなる傾向があります。唐津市は広大な行政区域を有する自治体であり、この課題は決して他人事ではないと感じました。

■ 広域連携による課題解決モデル
現代の地域課題は、単独自治体では対応が難しい分野が増えています。市や県をまたいでエリアを広域的に確保することは、生産性を高めます。また林業は、政策的にも脱炭素、防災、産業振興、福祉など広がりがあります。

今回の講師をつとめて頂いた株式会社トビムシ代表の竹本氏は、こうした課題への対応策として、地域ごとに民間主体による広域公民連携プラットフォームの構築を提唱され実現してこられました。この仕組みは、課題ごとに柔軟に取り組む自治体連携を可能にし、実行部隊として地域課題解決を支援するものです。現在、複数の自治体において、事業が具体化し成果を出されています。

■ 唐津市における今後の可能性
50%以上が森林を占める唐津市は、その他、農業、水産業、歴史文化など、多様な地域資源を有しています。一方で、人口減少や地域間格差といった課題にも直面しています。

今回の研修を通じて、
・地域資源を産業化する視点
・民間と行政の役割分担
・広域連携による課題解決の重要性
を改めて認識しました。

唐津が育んできた豊かな地域資源を保全するだけではなく、利活用、そして産業にして経済を生み出す事ができれば、域内経済の循環や持続可能な地域社会の構築に繋がると思いました。今回の視察で得た知見を、市政への政策提言につなげてまいります。



文責/松本 増浩(プロフィール
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